プレスリリース~急性期の脳梗塞治療に朗報 抗炎症血栓溶解剤TMS-007(JX10)の安全性と有効性を確認~

当研究室では、東京農工大学大学院農学研究院 蓮見惠司教授、株式会社ティムスと共にらループとともに、新規薬剤TMS-007 (JX10)の開発に取り組んできました。この薬剤は、脳血管の保護や、炎症を抑える作用なども併せ持つため、脳梗塞発症から一定の時間が経過した後でも詰まった血管を安全に再開通できるという特徴があります。東北大学病院を含む全国41施設での治験を経て、発症12時間以内の脳梗塞患者でtPAの対象にならなかった患者(例えば4.5時間以上経過しているなど。詳細な組み入れ基準や除外基準は論文をご参照ください)に対するTMS-007(JX10)の安全性と有効性が示されました。このことは、今後の脳梗塞治療に革新をもたらすことが期待されます。本研究成果は、2024年11月7日付けで国際学術誌Strokeに掲載されました。

Anti-Inflammatory Thrombolytic JX10 (TMS-007) in Late Presentation of Acute Ischemic Stroke.
Niizuma K, Nishimura N, Hasegawa K, Moritoyo T, Kudo K, Bell J, Wald M, Umeda Y, Kuribayashi K, Toda Y, Tominaga T, Hasumi K.
Stroke. 2024 Nov 7. Epub ahead of print. doi: 10.1161/STROKEAHA.124.048464.

これにより、本学および東京農工大学では2014年11月11日付けでプレスリリースを発出しました。
詳しい解説も掲載されておりますので、是非記事をご覧下さい!
※プレスリリースのリンク先は東北大学側の記事掲載アドレスです。

2024年、秋。メンバー異動の報告です

長い夏がようやく終わり急に涼しくなってきたと思えば、もう10月も半ばです。またしてもまとめてになりますが、メンバーの異動の報告です。

今年7月に北村佑樹先生がテキサス大学への留学のため渡米しました。慣れない土地に加えて円安の影響もあり、何かと大変だと思いますが、良い研究生活となりますよう、祈っております。

9月末には永井新先生が研究室を離れ臨床に戻りましたが、東北大学病院病棟勤務ですので、研究室の面々には心強いと思います。永井新先生と入れ替わりで、熊井萌先生が研究生活に入りました。研究室の女子率がまたまた上がりました。

10月からは東北大学と学術交流協定があるオランダのマーストリヒト大学からダブルディグリープログラム生としてAmien Abidさんが研究室メンバーに加わりました。本研究室には1年間の留学です。

これからも本研究室をよろしくお願いいたします!

世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発!

本研究室の新妻邦泰教授、菅野寛志助教(東京大学大学院理学系研究科特任助教兼任)が東京大学大学院理学系研究科教授の合田圭介教授らとともに主導する国際共同研究グループは、連続波レーザーを用いた蛍光寿命の同時多点測定技術を顕微鏡に取り入れることで、世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発しました。また、微小流路を流れる細胞を10,000細胞/秒を超える速度で撮影し、多数の細胞の蛍光寿命画像解析を世界で初めて行いました。本研究で開発した顕微鏡は、多数の細胞を短時間で詳細に解析できる手法として、今後の細胞生物学、病理学、薬理学などに貢献することが期待されます。
本成果は論文としてNature Communicationsにアクセプトされ、2024年9月4日付けでオンラインにて公開されています。

Kanno, H., Hiramatsu, K., Mikami, H. et al. High-throughput fluorescence lifetime imaging flow cytometry. Nat Commun 15, 7376 (2024). https://doi.org/10.1038/s41467-024-51125-y

また併せて、東京大学と東北大学との合同で本成果がプレスリリースされました。本研究の詳細も紹介されておりますので、是非ご覧下さい!

東北大学プレスリリースURL:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/09/press20240905-02-imaging.html

大学院生がベストプレゼンター賞を受賞しました

台風10号が東海地方を直撃するなか、2024年8月29日~31日に愛知県名古屋市で先端モデル動物支援プラットフォーム主催の 「2024年度若手支援技術講習会」が開催されました。当研究室からは大学院生の相川享先生と水野先生が参加し、相川先生が「膠芽腫におけるtRNA修飾の機能解析」と題するポスター発表でベストプレセンター賞を受賞しました。
おめでとうございます!!

論文掲載(Front Neurol)

広南病院、当院脳神経外科等で共同発表した論文がFront Neurolに掲載されました。

Prophylactic management of cerebral vasospasm with clazosentan in real clinical practice: a single-center retrospective cohort study. Front Neurol 15:1413632, 2024.

最近、日本の第三相治験においてクラゾセンタンが偽薬と比較してくも膜下出血(SAH)後の脳血管攣縮を抑制し、転帰を改善することが示されましたが、塩化ファスジル静注等を中心とした従来の標準的な治療法と比較したリアルワールドデータは未だ不足しています。本研究では、SAH後にクラゾセンタンを中心とした術後管理プロトコルで治療した群(81例)と、従来のプロトコルで治療した群(100例)を比較し、クラゾセンタンの有効性と安全性を検証しました。その結果、クラゾセンタンを中心とした術後管理では、従来の術後管理と比較して脳血管攣縮に関連した症候性脳梗塞を減少させ、臨床転帰も改善することが示されました。クラゾセンタンがリアルワールドにおいても、SAH後の脳血管攣縮に対する有望な治療選択肢となり転帰改善にまでつながる可能性が示唆されました。
なお、本論文は動脈瘤性SAHの連続症例から収集したデータを用いた、単一施設(広南病院)の後方視的観察コホート研究です。

論文掲載 (Cortex)

当院脳神経外科、てんかん科と共同で発表した論文がCortexに掲載されます。
発行は2024年7月ですが、既にオンラインで閲覧できますのでご覧ください。

Super-selective injection of propofol into the intracranial arteries enables Patient’s self-evaluation of expected neurological deficit. Cortex, ahead of print.

難治性てんかんに対する有効な治療選択肢として局所切除があります。しかし、術後の機能低下を最小限に抑えるためには、術前に機能予後を予測する必要があります。本グループは脳動脈の枝に麻酔薬を注入することで患者が術後の状態を疑似体験できる方法として、超選択的Wadaテスト(ssWada)を考案しました。古典的なWadaテストと異なり、意識減損をきたしにくく、またより選択的な皮質領域の症状を誘発できることが特徴的です。
本論文では、術後の症状をより安全にシミュレートできるssWadaを紹介し、またその結果が患者の手術に関する意思決定にどのうように役立ったかを述べています。

総説掲載(2報)

東北大学医学研究科 出澤真理教授らとの共同研究で、治験も行ったMuse細胞に関する総説がSTEM CELLS Translational Medicineに掲載されました。
Donor Muse Cell Treatment Without HLA-Matching Tests and Immunosuppressant Treatment. Stem Cells Transl Med, ahead of print.
本総説では、前臨床および臨床研究を通じて明らかになったMuse細胞のユニークな特徴について述べ、細胞治療への応用の可能性について考察しています。

そしてもう1件、当研究室の新妻と広南病院脳神経外科、東北大学病院脳神経外科が共同で発表した総説がJournal of Neuroendovascular Therapyに掲載されました。
Endovascular Treatment of Wide-Neck Bifurcation Aneurysm: Recent Trends in Coil Embolization with Adjunctive Technique. J Neuroendovasc Ther 18(3):75-83, 2024.
広頚部分岐動脈瘤(WNBA)に対するコイル塞栓術をサポートする補助的手技の最近の傾向について述べたもので、文献に基づいた有効性と安全性だけでなく、患者背景、動脈瘤の特徴、術者の経験などを考慮して、個々の症例に最適な治療法を選択することが重要であることを解説しています。

2024年、春。ページの更新とメンバーの異動の報告です

すっかり更新が滞ってしまいましたが、各ページの情報を更新しました。
メンバーの異動はまとめての報告になります。皆様、ごめんなさい。

先ずは卒業報告から。
2023年9月に周圓先生と張天翔先生が、2024年3月には安藤大祐先生、山下翔太先生、冨永慶太先生、中屋敷諄先生が大学院博士課程を修了し、博士(医学)の学位を取得されました。周圓先生と張天翔先生は中国に帰国され、それぞれ新しい職場と復帰した職場でご活躍されています。安藤先生は2024年4月から先進血管内治療開発寄附研究部門の助教に就任し、(大変有り難いことに!)引き続き研究と後輩学生の指導に取り組んでくださっています。冨永先生は近々、ニューヨークに留学予定です。中屋敷先生と山下先生は臨床に戻られています。Abdurahman Mousaさんは修士課程を修了し、4月から博士課程に進学しました。
大友真優子先生の大学院修了予定は来年ですが、研究をあらかた終了し、現在は臨床に戻られています。

新メンバーとしては、2023年10月に相川亮先生と水野敬吾先生が、2024年4月に永井友仁先生と林哲哉先生、池之内初先生(脳神経内科)が臨床から研究生活に入りました。また、岩崎祐子さんが博士課程学生として本研究室に加わりました。岩崎さんのご出身は本研究室と共同研究を行っている帝京大学薬学部の臨床分析学研究室(三枝研究室)です。共同研究を通して本研究室に興味を持っていただき、また進学先として選んでいただき光栄です!

新型コロナ問題も緩和されしばらく経ったので、4月12日には研究室の外で歓迎会を行い大変盛り上がりました。
現在、本研究室は開設以降最大の人数構成で、益々活気づいています。
実験室も拡張しているところですが、この話題はまた今度。

研究業績も更新しましたので、是非ご覧ください。
こちらもまとめての更新となったため、各文献の紹介はできず申し訳ございません。
今後は随時、論文の紹介を兼ねた更新を行っていきたいと思います。

新メンバーを迎え入れました


2023年4月1日付で、医学系研究科助教だったSherif先生が医工学研究科准教授に昇任し、助教には、東京大学理学系研究科出身の菅野先生が着任しました。菅野先生は東京大学の合田研究室出身の先生で、光工学が専門です。研究室内で融合領域研究を推進できることを期待しています。

加藤先生、尾崎先生は大学院を卒業し、4月からは永井先生が研究生活に入りました。

新メンバーを迎え入れました

スタッフでは、遠藤俊毅先生が東北医科薬科大学脳神経外科 准教授としてご移動され、園部真也先生が助教として加わりました。AI研究を中心に研究に携わって頂く予定です。

本研究室初の医工学研究科側の修士学生であった喜多君が卒業し、エプソンに就職いたしました。寂しいですが、素晴らしい企業で第一歩を踏み出しました。今後の活躍を楽しみにしています。

また、社会人大学院生として、岩手県立中央病院脳神経内科の土井尻先生が加わり、脳梗塞の血栓に関する研究を行うこととなり、脳神経外科からは北村先生が脳梗塞の課題に取り組んでいく予定となりました。